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特集 ミトコンドリア
ミトコンドリアの形態学的多様性
Morphological diversity of mitochondria
山田 英智
1
Eichi Yamada
1
1古賀医学研究所
pp.634-642
発行日 1994年12月15日
Published Date 1994/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900859
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I.ミトコンドリアの機能は すべて同じだろうか
結論からいえば,ミトコンドリア(以下Mt)は基本的機能において同じであるが,他方ではその機能には種々の変異があると考えられる。この考え方は形態学的にMtが示す多様な見え方に基づくもので,Mt研究の当初から考えられていた。
Mtを最初に観察した人が誰かを特定することは難しい。多くの細胞学者が光顕で細胞質内に果粒状ないし糸状の構造物を認めて種々の名称で呼んだ。Cowdryは約50の名称を挙げている1)。その多くが今日のMtに相当することは確かであるが,他の構造をも含まれていた。それは光顕レベルでMtを同定する方法の限界を示すものであろう。彼は光顕によってMtを同定する指標として次の3つを挙げている。(1)無染色の生細胞では屈折率がやや低く,果粒状,杆状ないし糸状の構造物で,ときに網状を呈する。(2)極低濃度のJanus緑B(diethylsafraninazodimethylanilin)で生細胞を染めるとMtはまず青緑色に,やがてピンク色をへて無色に変化する。Janus緑Cでは呈色しない。(3)アルコール,酢酸に溶ける。固定材料では酸フクシン(Altmann法),クリスタル紫(Benda法)で染色される。以上のうちMtに特異的な性質はJanus緑Bによる反応のみとされてきた。
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