特集 動物の行動機能テスト―個体レベルと分子レベルを結ぶ
3.マウス・ラツト
絶望実験
田中 正敏
1
1久留米大学医学部薬理学教室
pp.438-439
発行日 1994年10月15日
Published Date 1994/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900778
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目標
動物にとって絶望という状態があるかどうかはかなり不確実であるが,心理学的には,絶望感というのは,対処不可能な,つまり自らがコントロールできない事象に直面した時に,その結果としてしばしば生じる心理状態であるとされる1)。動物実験では,2つのモデルがあげられるが,これらの動物モデルは抑うつや不安といった情動と深く関係するモデルということができる。
ひとつは,SeligmanらやWeissらによる学習性絶望もしくは学習性無力(learned helplessness)1)である。これは,無力であることを学習するというもので,そういう個体はたとえ対処可能な状況であってもうまく対処できなくなるなど,興味ある課題であり,反応性うつ病のモデルとして考えられたが,ヒトでそれが必ずしも確かめられていない。
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