特集 精神科×内科—患者と家族を支えるために知っておきたい見えない“こころ”のこと
特定の疾患や状況への対応
依存症の心理—孤独と寂しさと絶望
成瀬 暢也
1
1埼玉県立精神医療センター
キーワード:
依存症
,
患者の心理
,
人間不信
,
自己否定
,
望ましい対応
Keyword:
依存症
,
患者の心理
,
人間不信
,
自己否定
,
望ましい対応
pp.1050-1053
発行日 2025年6月10日
Published Date 2025/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.002576990620071050
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Point
◎依存症は我慢や意志の問題ではなく,物質使用のコントロール障害を主症状とする病気であることを理解する.
◎患者の背景には,自信をもてない,人を信じられない,本音を言えない,見捨てられる不安が強い,孤独で寂しい,自分を大切にできないなど,「人間不信」と「自己否定」の問題がある.
◎依存症患者の飲酒・薬物使用は,「人に癒されず生きづらさを抱えた人の孤独な自己治療」という見方が適切である.
◎患者は,人と信頼関係を築けて人から癒され,エンパワメントされると依存性物質を手放せることを,自助グループや回復施設は実証してきた.
◎治療者は,患者に対して依存性物質を無理にやめさせようとせず,患者の困っていることに焦点付けし,孤立した患者を人の支援につなぐことが大切である.

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