特集 現代医学・生物学の仮説・学説2008
6.免疫学
オートファジーを介した新しい抗原提示経路
水島 昇
1
Noboru Mizushima
1
1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科細胞生理学分野
pp.454-455
発行日 2008年10月15日
Published Date 2008/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100556
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T細胞は抗原提示細胞表面のMHC(主要組織適合抗原複合体)上に提示された抗原ペプチドを認識する。MHCには,ほぼすべての細胞に発現しているMHCクラスⅠ分子と,食作用の盛んなプロフェッショナル抗原提示細胞が主として発現するMHCクラスⅡ分子がある。これら2種類のMHCが提示するペプチドは,原則として異なる経路に由来すると考えられている。
ウイルスタンパク質などの内因性(細胞内)抗原は,ユビキチン-プロテアソーム系によってプロセシングされてペプチドとなった後に,TAP(transporter associated with antigen presentation)を通じて小胞体へと運ばれる。ここでペプチドはMHCクラスⅠ分子と結合し,そのまま分泌経路を通って細胞表面へと輸送され,CD8陽性T細胞に提示される。一方,外来性抗原はエンドサイトーシスあるいはファゴサイトーシスで取り込まれたのちに,リソソームまたはそれに関連したMHCクラスⅡコンパートメント(MⅡC)で分解される。ここで,生じたペプチドはMHCクラスⅡ分子に結合しているCLIP(インバリアント鎖由来のペプチド)と置き換わり,再び細胞膜へと輸送され,CD4陽性T細胞に提示される。
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