特集 現代医学・生物学の仮説・学説
1.細胞生物学
細胞間結合装置
鈴木 二美枝
1
,
永野 俊雄
1
1千葉大学医学部第二解剖学教室
pp.432-433
発行日 1993年10月15日
Published Date 1993/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900599
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概説
多数の細胞が集合して機能する場合,隣接細胞間には相互間の結合維持や,間隙のシール,情報連絡などの機能をになう結合装置が形成される。脊椎動物の場合,閉鎖帯,接着帯,接着斑,ネキサスの4種類が通常認められる。構造的要素は,a)細胞膜,b)膜貫通分子,c)細胞膜裏打ち構造,d)細胞内線維である。a,bはすべてに共通してみられるが,c,dは細胞間の強固な結合に関与する接着帯や接着斑でよく発達する。
これまでの知見では,4種類とも隣接細胞の膜貫通分子同士が細胞外の部位で同種分子間接着により結合しており,原則的に細胞外基質が接着に関与しない。他方,固着細胞の多くは基質との間に結合をもち,その発達した構造として接着斑や接着帯の半分の構造をもつヘミデスモソームや細胞-基質間接着結合(focal contact)が形成される。これらの場合は膜貫通分子と基質中の分子との間で異種分子間接着がおこる。細胞間結合装置では膜をのぞく構成要素の多くが蛋白質であり,現在これらの同定,局在,機能の解明が急速に進展している。それらのおもなものを表1に示す。紙面の関係上,本文では学説や特筆すべき点のみをのべる。
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