Japanese
English
特集 神経系におけるLateralization
大脳半球間結合の解剖学
Anatomy of interhemispheric connections of the cerebrum
正村 和彦
1
,
川村 光毅
2
Kazuhiko SHOUMURA
1
,
Koki KAWAMURA
2
1岐阜大学医学部解剖学第二講座
2岩手医科大学医学部解剖学第一講座
1Department of Anatomy, Gifu University School of Medicine
2Department of Anatomy, Iwate Medical University, Faculty of Medicine
pp.497-516
発行日 1980年6月10日
Published Date 1980/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431905170
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I.はじめに
高等哺乳動物の左右の大脳半球は,三つの大脳交連(脳弓交連,前交連および脳梁)を通る交連線維によって結合されている。これらの大脳交連を構成する軸索の大部分は,一側半球の大脳皮質から起こり反対側の大脳皮質に達する皮質・皮質線維であるが,左右の大脳核(扁桃核;前交連によって結合されている16),尾状核:脳梁を経由する交連線維によって結合されている52))を結合する線維も含む。系統発生的に,前交連と脳弓交連は古く,脳梁はもっとも新しい。前交連は左右の嗅球,前有孔質などを結合する発育の悪い前部と左右の扁桃核,梨状葉皮質(海馬傍回),下および中側頭回前部を結合する56,73,81)発育がよい後部とに分けられる。脳弓交連は,左右の海馬体(原始皮質),海馬傍回を結合する。脳梁は哺乳類の真獣類(完全胎生)以上に現われ,単孔類(卵生)および有袋類(早期胎生で袋内発育)では脳梁を持たず,左右の新皮質は前交連によってのみ結合されている。脳梁は明らかに新皮質の増大とともに大きさを増し,ヒトの脳で最もよく発育している。ヒトの脳梁は約2億の線維を含むと言われている69)。マウスの脳梁は30万の線維を含むという70)。脳梁線維の数と錐体路の線維の数の比を見ると,ヒトでは100:1,マウスでは5:1であり70),これによってヒトの脳梁がいかに高度な発達を示しているかを理解することができる。
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