特集 〈研究室で役に立つ細胞株〉
Ⅲ.間葉系細胞株
白血球系細胞
赤血球
マウス赤白血病:MEL
帯刀 益夫
1
1東北大学抗酸菌病研究所細胞生物学部門
pp.486
発行日 1992年10月15日
Published Date 1992/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900472
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■樹立の経緯
フレンドウイルス感染マウスは赤芽球前駆細胞の増殖により脾臓が肥大する。フレンドウイルスには貧血症発症型と多血症発症型があり増殖促進が起きる前駆細胞の性状に相異が見られる。フレンドウイルス感染の初期過程では前駆細胞の増殖の促進が見られ,ついで細胞の癌化が起きるものと思われる。このフレンドウィルス感染により増殖状態になった脾臓由来細胞を培養などに移し,継代し樹立されたのがMEL(murine erythroleukemia:マウス赤白血病),あるいはフレンド白血病細胞である。
MEL細胞は培養系にジメチルスルホキシドなどの分化誘導剤を添加するとヘモグロビンを産生し赤血球方向へと分化することがわかり,赤芽球前駆細胞がトランスフォームしていることがわかった。細胞の樹立は,C. Friend(DBA2マウス),W. Ostartag(DBA2マウス),井川洋二(CDDマウス)により多血症型フレンドウイルス感染脾細胞から樹立され,それぞれ,クローン707,クローンB8/3,クローンT3C12などと命名された。またT. Makにより貧血症型フレンドウイルス感染脾細胞から樹立された細胞はTSA8株と呼ばれる。
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