病気のはなし
赤白血病
八田 善弘
1
,
大島 年照
2
1日本大学医学部第1内科
2赤心堂病院内科
pp.98-101
発行日 2001年2月1日
Published Date 2001/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905721
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新しい知見
赤白血病の発症機序はまだ不明な点が多い,それは本症の発症に急性白血病としての性格と同時に赤芽球の分化障害,増殖という複雑な機転が絡み合っているためと推測される.急性白血病としての解析は普遍的な染色体異常の解析が嚆矢になりうる.3番染色体と5番染色体の転座t(3;5)は頻度は多くないものの,急性骨髄性白血病のうち急性前骨髄性白血病を除くすべての型に認められ,中でも赤白血病に多いといわれている.この転座では3q25.1上のMLF1遺伝子と5q34上のNPM遺伝子の異常が疑われたが,両遺伝子の融合やNPM遺伝子の再構成は認められなかった1).以上より,赤白血病を含む急性骨髄性白血病の発症にかかわる新たな遺伝子が3q25.1,5q34の近傍にあることが予想される.一方,赤芽球の分化からみた研究では,Cullらの細胞株の研究において,エリスロポエチン受容体遺伝子の変異で赤白血病の増殖が早まることが示された2),すなわち,この系ではエリスロポエチンは分化誘導に働き,増殖を抑制していたが,エリスロポエチン受容体遺伝子の変異でその制御がはずれたことを示唆している.このように,白血病の発症と赤血球の分化の両面から,赤白血病の発症機序が解明されつつある.
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