特集 〈研究室で役に立つ細胞株〉
Ⅲ.間葉系細胞株
白血球系細胞
単球・マクロファージ
ヒト白血病:OCI/AML 1a
奈良 信雄
1
1東京医科歯科大学医学部臨床検査医学
pp.481
発行日 1992年10月15日
Published Date 1992/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900467
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■樹立の経緯
OCI/AML1a細胞株は,顆粒球コロニー刺激因子(C-CSF)に依存性に増殖する白血病細胞株として,奈良により樹立された1,2)。
1984年,当時オンタリオ癌研究所(Ontario Cancer Institute:OCI)に留学中の奈良は,急性骨髄単球性白血病(FAB分類AML M 4)患者の末梢血液から分離した白血病細胞をヒト膀胱癌細胞株5637の培養上清(5637-CM)を増殖因子として含む20%ウシ胎児血清加α培養液中で継代培養し,長期間にわたって指数関数的に増殖する細胞株をOCI/AML1として樹立した3)。OCI/AML1細胞株は,時として増殖能が低下することがあった。5637-CMには,G-CSFの他,顆粒球単球コロニー刺激因子(GM-CSF),インターロイキン1α(IL-1α)などが含まれている。OCI/AML1細胞は,AML M4白血病に由来するため,GM-CSF,IL-1αなどに反応して単球系細胞へ分化し,増殖能が低下すると考えられた。そこで,5637-CMに代えてG-CSFの存在下で継代培養を繰り返したところ,6年以上にわたって増殖しているOCI/AML 1a細胞株を得た。
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