今月の表紙 血液・リンパ系疾患の細胞形態シリーズ・3
急性骨髄性白血病(AML-M2)
栗山 一孝
1
,
朝長 万左男
2
Kazutaka KURIYAMA
1
,
Masao TOMONAGA
2
1長崎大学医学部附属原爆後障害医療研究施設分子医療部門分子治療研究分野
2長崎大学医学部附属原爆後障害医療研究施設
pp.256-257
発行日 1998年3月15日
Published Date 1998/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903668
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FAB分類のAML-M2は芽球が30~90%を占め,前骨髄球より成熟した顆粒球が少なくとも10%以上認められるいわゆる分化型のAMLである.比較的芽球が多い例ではM1と,芽球が少ないと骨髄異形成症候群(MDS)との鑑別を要する.また単球の増殖は認めないが,一部の症例では単球が目立ち(多くても20%) AML-M4との連続性が認められる.このようにM2は広範囲にわたるのでAMLの中では最も頻度が高く30~35%を占める.
典型的なM2は30~40%を占める染色体異常t (8;21)(22q;22q)を伴ったタイプであろう.このタイプは形態学的特徴を有しているために形態学的所見から染色体異常を約90%の確率で予測することができる.図1の症例では左方のAuer小体を有した芽球に接して小型で核の異形性が強い芽球を認める.右の大型の細胞は原形質にアズール顆粒が少し出現しているので芽球と言うより前骨髄球であろう.このように小型で複雑な核の切れ込みを持つ芽球とAuer小体を認めるのはこのタイプの特徴の1つである.また図2の症例では上部3個の細胞中左方は前骨髄球,右方の2個は骨髄球と思われ,いずれも脱顆粒は強いが原形質は完全に白色に抜けておらず淡いピンクを伴った灰色に染色されている.さらに図3の症例では左方のAuer小体を有する原形質の広い芽球とそれに接して2個の好酸球が続いている.これらもt (8;21)を有するタイプの特徴である.また芽球のmyeloperoxidase (MPO)陽性率は高く,好中球alkaline phosphatase (MAP)のスコアは低い.
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