今月の表紙 血液・リンパ系疾患の細胞形態シリーズ・4
急性骨髄性白血病(AML-M3)
栗山 一孝
1
,
朝長 万左男
2
Kazutaka KURIYAMA
1
,
Masao TOMONAGA
2
1長崎大学医学部附属原爆後障害医療研究施設分子医療部門分子治療研究分野
2長崎大学医学部附属原爆後障害医療研究施設
pp.378-379
発行日 1998年4月15日
Published Date 1998/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903693
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FAB分類によるAML-M3は,形態学的に特徴のある急性前骨髄球性白血病である.したがって,形態診断の診断一致率も高い.形態学的特徴に加え,播種性血管内凝固症候群(DIC)と染色体異常t (15;17)(q22;q21)を認める例が90%以上を占める.17q21上にはretinoic acid rece-ptor-α(RARα)遺伝子,15q22にはPML遺伝子があり,相互転座によってPML-RARαキメラ遺伝子を形成している.all-trans retinoicacid(ATRA)による分化誘導療法の成功は,この遺伝子異常が密接に絡んでいることが明らかになりつつある.
AML-M3の典型的細胞形態は図1に示すように,核型は分葉傾向を示す鉄アレイ状,原形質は不揃いなアズール顆粒で満たされ,Auer小体を有し,さらにAuer小体が束をなしたfaggotなどがある.この豊富なアズール顆粒の中には凝固や線溶活性物質が多量に含まれており,DICの原因となっている.
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