今月の表紙 血液・リンパ系疾患の細胞形態シリーズ・6
急性骨髄性白血病(AML-M5)
栗山 一孝
1
,
朝長 万左男
2
Kazutaka KURIYAMA
1
,
Masao TOMONAGA
2
1長崎大学医学部附属原爆後障害医療研究施設分子医療部門分子治療研究分野
2長崎大学医学部附属原爆後障害医療研究施設
pp.610-611
発行日 1998年6月15日
Published Date 1998/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903744
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急性単球性白血病は,FAB分類ではAML-M5に分類され,"骨髄中全有核細胞の80%以上が単球系細胞(単芽球,前単球,単球)からなる病型"と定義されている.単芽球が80%以上を占める未分化型(M5a)と単芽球が80%に満たず成熟単球が主体の分化型(M5b)に分けられる.
AML-M5aに認められる単芽球の形態学的特徴(図1)は,類円形で原形質がやや広いことが多く,一部の芽球には片方から核に軽度の切れ込みを有したり,核に陥凹が形成され,この部分に大きな核小体を認めることがある.しかし,他血球系の芽球とまったく区別がつかないことも多い.単球系細胞は基本的に非特異的エステラーゼ(esterase butyrate;Es-bなど)が陽性なので,これが陽性であれば単芽球であると確定できる(図2)が,陰性のことも多く,この場合は最も確定診断が難しい急性白血病の1つとなる.免疫学的に,比較的単球系に特異性の高いCD14,CD15などが発現しているとM5aの可能性は高くなるが,確診には至らない.
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