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急性骨髄性白血病のFAB分類によるAML-M6は,第一義的に赤芽球増多に重点が置かれているために骨髄全有核細胞中赤芽球が50%以上であることを条件とし,次に赤芽球を除いた有核細胞中芽球が30%以上を占めると定義されている(図1).赤芽球の形態異常については特に言及していないために非常に強い例から,比較的軽微な例まで存在する.またAML-M6で増殖している芽球はmyeloperoxidase (MPO)陽性の骨髄芽球であり(図2),アウエル小体を認めることも珍しくない.しかし,MPOの陽性率が低く,免疫学的マーカーによって初めて骨髄芽球とわかることもある.AML-M6ではperiodic acid Schiff(PAS)染色陽性赤芽球の存在がよく知られているが,陽性率はそれほど高くない.またM6では赤芽球に加え巨核球や顆粒球系の形態異常も伴うAML with trilineage dysplasia (TLD)がAMLの中では最も頻度が高く半数以上の例で認められる(図3).赤芽球形態異常が強い例では骨髄異形成症候群(MD)からの急性白血病化例や二次性白血病が含まれている可能性がある.一方,染色体分析の結果からは形態異常の強い例に複雑な核型を有する例が多く,これらの症例は治療成績が悪いAML-M6の中でもさらに悪いと言われている.
最近,まれに増殖芽球が赤血球系の芽球(earlyerythroblast)で占められる‘variant’M6あるいはacute erythroblastic leukemiaと呼ばれるタイプが認識されるようになってきた.芽球は大型で原形質は好塩基性が強く,一見前赤芽球に似通った形態をしている(図4).ときに,原形質に空胞を有し,細胞変形が強い芽球が主体を占める症例から赤芽球まで成熟傾向を示す症例まで存在する.特殊染色および免疫学的マーカーでは,glycophorin Aをはじめとする各種赤血球系抗原陽性,骨髄顆粒球系のゴールデンマーカーであるMPOは陰性,CD13も陰性のことが多くときにCD33が陽性となる.また,HLA-DRは陰性である.血小板gp Ⅳ/thrombospodin受容体であるCD36は血小板系や単球にも証明されるが,むしろ赤芽球系細胞に強く発現しこの病型の芽球でも陽性である.さらに酸性ホスファターゼやPAS染色が陽性となる(図5).多くの症例で芽球はエリスロポエチンに反応してコロニー形成をするし,エリスロポエチン添加短期間液体培養が可能である.筆者らが経験した症例あるいは症例報告から判断すると化学療法に難治性と思われる.
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