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特集 ペルオキシソーム/最近の進歩
ペルオキシソーム蛋白質の局在化シグナル
Topogenic signal of peroxisomal proteins
大隅 隆
1
Takashi Osumi
1
1姫路工業大学理学部生命科学科細胞機能学講座
pp.180-183
発行日 1991年6月15日
Published Date 1991/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900188
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ペルオキシソームの蛋白質は細胞質ゾルの遊離ポリソームで合成された後,小胞体を経由することなく,すでに存在するペルオキシソームに輸送されると考えられている1)。ペルオキシソームは分裂によって新しいペルオキシソームを形成するが,時によっては多数が細管状構造を介してつながった,“ペルオキシソームレティキュラム”の構造をとるという。
これまでに数多くのペルオキシソーム蛋白質についてcDNAのクローニングやin vitroの翻訳実験が行われているが,それらの結果からわかったことは,ごく一部の例外を除いて大半のペルオキシソーム蛋白質は切断性のシグナルペプチドをもたないということであった。このことは,成熟体のアミノ酸配列の中にペルオキシソームへの輸送シグナルが含まれていることを示唆しており,やはり小胞体とは無関係に輸送されるミトコンドリアや葉緑体の蛋白質の場合とは好対照をなしている。ここ数年の間に,ペルオキシソーム局在化シグナルの研究において大きな進歩があったので,ここで概説してみたい。なおこの問題については,一部は宮沢らによってすでに本誌でも取り上げられており2),また他にもいくつかの総説が出ている3-6)ので,参考にしていただきたい。
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