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あとがき
栗原 裕基
pp.631
発行日 2024年12月15日
Published Date 2024/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425201991
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新組織学シリーズの特集は,2020年に当時編集委員長を務めておられた故野々村禎昭先生の「年1回ずつ生体の各組織を取り上げ,最終的には現代的な組織学の体系を構築したい」との思いから企画され,「皮膚」,「骨格筋」,「血管・リンパ管」,「骨・軟骨」を経て,今回の「脂肪」が5回目になります。脂肪は一般の人にとっても最も身近で気になる組織ですが,最近では医学生物学研究において大きなトピックスとなっている「代謝」や「臓器ネットワーク」では中心的な存在となり,関連研究が急速に進んでいます。今回ゲストエディターをお願いした小川佳宏先生は,生活習慣病の病態研究を中心とする内分泌代謝学の第一人者として,こうした世界的な潮流を牽引されておられます。本特集では小川先生の幅広いご見識から構想をお願いし,脂肪の組織学の基礎から臨床に至るまで,多くの先生方にご執筆いただくことができました。おかげさまで,この一冊で脂肪組織の構造・機能から病態にわたって,最先端の知見を広く俯瞰できる内容になりました。
本特集号ではさらに,小長谷有美先生から,細胞周期においてG1/S期の進行を後戻りさせる機構があるという,驚くべき新知見を紹介していただきました。かつて増井禎夫先生が切り拓いた細胞周期研究が,再び我が国の研究者によって新しい展開を迎えることを予感させる成果と思います。ご執筆いただいたすべての先生方に,心より感謝申し上げます。
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