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あとがき
栗原 裕基
pp.284
発行日 2015年6月15日
Published Date 2015/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200173
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最近いろいろなところで文理融合や学際研究が盛んに推進されていますが,「進化」の問題は生命科学から哲学・宗教に至る広い領域で関心を集め,数多くの論争の中心にもなってきた,まさに学際領域の典型であると言えます。この「進化」という長い時間軸の問題を,「発生」という短い時間軸の覗き窓を通して見渡し,さらにそこから発生の神秘にメスを入れる進化発生学は,ゲノムサイエンスやさまざまな技術革新の力を得て,それ自体が学際的に進化し続けている複眼的領域とも言えるでしょう。本号の特集ではこの領域を黎明期から牽引してこられた倉谷滋先生をゲストエディターにお迎えし,実にさまざまな生物種を対象として最先端で活躍されている方々に将来の展望も含めて解説していただいています。進化の謎,発生の神秘がこれからどのように解き明かされようとしているのか,興味の尽きないところです。
本号では,連載講座の新しい実験動物モデルとしてマーモセットが紹介されています。霊長類研究は,本誌の本年第1号で特集された「心の営み」に踏み込んだ脳の高次機能やヒト疾患の解明などに,今後もさらに威力を発揮することでしょう。こちらも学際領域を切り開くツールとして,益々目が離せない実験動物となりそうです。
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