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特集 生命現象を駆動する生体内金属動態の理解と展開
Ⅱ.タンパク質を機能化する生体内での金属挿入メカニズム
ヘム選択的プローブを利用した細胞内ヘム動態の理解
Understanding intracellular heme dynamics by a heme-selective fluorescent probe
平山 祐
1
Hirayama Tasuku
1
1岐阜薬科大学薬化学研究室
キーワード:
ヘム
,
蛍光プローブ
,
イメージング
,
細胞内動態
,
遊離ヘム
Keyword:
ヘム
,
蛍光プローブ
,
イメージング
,
細胞内動態
,
遊離ヘム
pp.133-137
発行日 2024年4月15日
Published Date 2024/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425201834
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ヘムは鉄(Ⅱ)イオン(Fe2+)とポルフィリンから成る錯体であり,地球上のほぼすべての生物が有する。これほど多く生命活動に使用されている金属錯体はおそらくほかになく,動植物を問わず,生体内における機能はこれまで多くの研究者にとって興味深い研究対象となってきた1)。われわれヒトにおいては,Fe2+とプロトポルフィリンⅨの錯体であるヘムb(以下,この錯体をヘムと呼ぶ)が主に利用され,酸素運搬,エネルギー産生,電子伝達だけでなく,カタラーゼなど過酸化物の除去に関わる酵素群や,シトクロムP450のような薬物代謝酵素など,様々な酵素の補因子として機能している。一方,生体内・細胞内にはタンパク質と結合していない,あるいは弱く結合している“遊離ヘム”も存在しており,これらは生物が“利用可能な状態のヘム”であると言える。実際,Bach1に代表されるような,ヘムの結合により制御される転写因子が報告されており2),これは細胞内の遊離ヘム濃度の変動が,細胞内シグナルの制御に関わっていることを示唆していると言える。しかしながら,現在,ヘムタンパク質に関わる生物無機化学・生化学的な知見に比べ,遊離ヘムの濃度変動や,細胞内動態に関しては,ほとんどわかっていない1)(図1)。
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