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特集 メカノバイオロジー
Ⅰ.細胞・組織の力学特性の計測
AFMによる1分子レベルのメカノトランスダクション機構の解明
Single-molecular mechanotransduction revealed by AFM
牧 功一郎
1,2,3
,
安達 泰治
4
Koichiro Maki
1,2,3
,
Adachi Taiji
4
1日本学術振興会
2東京大学大学院工学系研究科
3ヘルシンキ大学HiLIFE研究所
4京都大学ウイルス・再生医科学研究所
キーワード:
原子間力顕微鏡
,
全反射照明蛍光顕微鏡
,
αカテニン
,
1分子引張試験
Keyword:
原子間力顕微鏡
,
全反射照明蛍光顕微鏡
,
αカテニン
,
1分子引張試験
pp.267-272
発行日 2019年8月15日
Published Date 2019/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200997
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メカノセンサー分子は,機械的な力のもとでその立体構造(コンフォメーション)を変化させ,細胞内の生化学的シグナルを誘導する分子である。例えば,細胞膜上に存在する機械受容チャネルは,膜張力に応じてカルシウムイオンの透過性を調節することが知られる。また,細胞の接着構造に存在する幾つかのタンパク質は,張力のもとでその一部がほどけ(アンフォールディングし),他の接着関連分子の結合を促進することが知られる。メカノセンサー分子は,細胞が恒常性を維持するだけでなく,周囲の力学的情報をもとに細胞分化や細胞死などが運命決定されるうえで重要な要素である。したがって,力を起因とした様々な生物学的現象を“入力側”から探るためには,メカノセンサー分子の力のもとでの分子動態を明らかにすることが必要となる。本稿では,原子間力顕微鏡を用いてメカノセンサー分子に張力を負荷する,あるいは,その立体構造を走査するための実験手法を紹介する。更に,全反射照明蛍光顕微鏡との組み合わせにより,メカノセンサー分子に対するシグナル分子の結合を直接観測するための1分子実験手法を提案する。
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