増大特集 細胞多様性解明に資する光技術─見て,動かす
特集「細胞多様性解明に資する光技術─見て,動かす」によせて
松田 道行
1
1京都大学大学院医学研究科病態生物医学
pp.377
発行日 2017年10月15日
Published Date 2017/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200652
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“ミクロの世界”と称される光学顕微鏡を使った研究は,2014年のノーベル化学賞の対象となった超解像顕微鏡技術により,“ナノの世界”へと広がっている。高速化,多色化へとさらなる発展も著しい。更に,新たなモダリティによる顕微鏡も幾つか開発され,多様なプローブの開発もあいまって,分子活性,分子配向,温度など“見えなかったものを可視化する”こともいまや普通になってきた。一方,多光子顕微鏡によるライブイメージングやズームアウトして臓器や個体を丸ごと観察する技術などの進歩にも目を瞠るものがあり,顕微鏡技術の発展があらゆるスケールで研究のブレークスルーをもたらしている。
これら顕微鏡技術の発展は,膨大な画像データとそこからの定量的情報抽出という,生命科学者だけでは手に負えない研究課題を生み出している。画像処理を専門とする情報学研究者の協力なくしてはせっかくの画像データもまさしく宝の持ち腐れである。生命科学者と情報学者のマッチングは喫緊の課題である。本特集には精力的に共同研究を進めている情報学者の方々の寄稿もあるので,ぜひ,参考にしていただきたい。
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