増大特集 病態バイオマーカーの“いま”
Ⅰ.循環器疾患・血液疾患
レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系の新たな展開
名越 智古
1
,
吉村 道博
1
Nagoshi Tomohisa
1
,
Yoshimura Michihiro
1
1東京慈恵会医科大学内科学講座循環器内科
キーワード:
レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系
,
RAAS
,
循環RAAS
,
組織RAAS
,
食塩
,
糖
Keyword:
レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系
,
RAAS
,
循環RAAS
,
組織RAAS
,
食塩
,
糖
pp.382-383
発行日 2016年10月15日
Published Date 2016/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200478
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レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)は元来,生物が海から陸上へと進出する進化の過程で,海水と同じ組成の細胞外液を体内に保持し,陸上での生存を可能にするために発達し獲得された。一方,重症心血管疾患において賦活化されるRAASは,末梢血管抵抗を上昇させ,体液中のナトリウムを貯蓄させることで循環動態の維持に働く,いわば生体の代償機転と考えられる。しかしながら,その持続的過剰活性は心臓や腎臓,血管において肥大や線維化,酸化ストレス発生などを引き起こし,逆に病態を悪化させるようになる。このように,進化の時間軸からするとあまりに劇的に変化した現代の生活環境において,生命の維持に不可欠であるはずのRAASは,その生理学的意義に反し,様々な心血管疾患の病態形成に寄与している。
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