Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
マクロファージや好中球,樹状細胞に発現する自然免疫受容体は,病原体が侵入した際,病原体には存在するが自己の細胞にはみられないような病原体関連分子パターン(pathogen-associated molecular patterns;PAMPs)と呼ばれる繰り返し構造を認識することが知られており,一般にパターン認識受容体(pattern recognition receptors;PRRs)と呼ばれている。近年,PRRsは非自己である病原体のほかにも,自己の死細胞や損傷された細胞から放出されるダメージ関連分子パターン(damage-associated molecular patterns; DAMPs)も認識することが明らかになってきており,自己,非自己双方に起因する自然免疫応答を引き起こすことで,生命の恒常性維持に重要な役割を果たしていると考えられる1)。
これらPRRsのなかで,C型レクチン受容体(C-type lectin receptors;CLRs)は,Ca2+依存的に糖鎖を認識すると考えられているが,近年,タンパク質や脂質,結晶など広く多様なリガンドを認識することが明らかとなってきつつある2,3)。macrophage-inducible C-type lectin(Mincle,別名Clec4e/Clecsf9)は,ストレスに伴ってマクロファージや樹状細胞に発現が誘導されるCLRであり,筆者らは,MincleがITAM(immunoreceptor tyrosine-based activation motif)を有するアダプター分子Fc受容体γ鎖(FcRγ)と会合し,シグナルを伝達することを見いだした4)。また,Mincleが結核菌の細胞壁に含まれる免疫賦活物質である糖脂質,TDM(trehalose 6,6'-dimycolate)や,病原性真菌マラセチアの成分である糖脂質をリガンドとして認識することを明らかにした5,6)。一方,Mincleは病原体だけでなく死細胞より放出されるタンパク質も認識することがわかっているが4),自己の脂質をDAMPsとして認識するかは不明であった。
Copyright © 2016, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.