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SUMO(small ubiquitin-related(like)modifier)は酵母からヒトに至る真核生物種の間で高度に保存されている約100アミノ酸残基のタンパク質である。SUMOは細胞内でプロセッシングを受けることでC末端にグリシン(G)残基を突出させ,この末端のG残基がATPとSUMO-E1,-E2酵素により活性化されて,別のタンパク質のリジン(K)残基側鎖のεアミノ基にイソペプチド結合する。SUMO化と呼ばれるこの反応により,SUMOと別のタンパク質が架橋した融合タンパク質が生成される(図A)。基質特異性と反応効率の制御にSUMO-E3因子が関与する場合もあるが,E3を必要としない場合もある。状況によっては基質タンパク質がポリSUMO化されることもある。哺乳類の培養細胞を用いたプロテオミクス解析からは,約1,500種のタンパク質がSUMO化基質として同定されている。SUMO化基質には,核やクロマチンを構成するタンパク質が多い。
SUMO化やポリSUMO化されたタンパク質の解析から,(V/I/L)KxEのアミノ酸配列中のK残基がSUMO化されやすいことがわかっている。また,SUMOと相互作用するタンパク質のアミノ酸配列の比較から,SUMOと親和性の高いSIM(SUMO-interacting motif)配列の存在が推定されている。SIM配列にはバリエーションがあるものの,タンパク質のβ構造中に(V/I/L/F/Y)(V/I)DLTといった配列があるとSIMとして機能する可能性が高いとされている。SUMO化されたタンパク質とSIM配列を有するタンパク質の間では,SUMO-SIM相互作用によりタンパク質相互作用ネットワークが形成される。また,SUMO化やポリSUMO化がタンパク質複合体を分散させたり,タンパク質とDNAの相互作用を変化させたり,他の翻訳後修飾(リン酸化やユビキチン化)との連携や協調関係に影響を及ぼすことも報告されている(図B)。
一方,SUMO化やポリSUMO化されたタンパク質は,脱SUMO化酵素SENP(SUMO-specific protease)などにより,未修飾状態に変換される。SUMO化は細胞内で動的に制御される翻訳後修飾である。
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