特集 現代医学・生物学の仮説・学説2008
1.細胞生物学
SUMO修飾による核構造モジュレーションと細胞のがん化
宇和田 淳介
1
,
斉藤 典子
2
,
中尾 光善
2
,
斉藤 寿仁
1
Junsuke Uwada
1
,
Noriko Saito
2
,
Mitsuyoshi Nakao
2
,
Hisahito Saito
1
1熊本大学大学院自然科学研究科生命科学講座
2熊本大学発生医学研究センター再建医学部門器官制御分野
pp.352-353
発行日 2008年10月15日
Published Date 2008/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100510
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SUMO(small ubiquitin related modifier)は,ユビキチン類似の構造を持つタンパク質で,ヒトにおいては少なくとも三つのパラログ(SUMO1-3)が存在する。SUMOはE1(活性化酵素),E2(結合酵素),E3(リガーゼ)による段階的反応により,別のタンパク質のリジン残基とSUMOのC末端がイソペプチド結合する。これをSUMO修飾と呼ぶ(図)1,2)。SUMO修飾は,脱SUMO化酵素SENPファミリーによって基質タンパク質から外すことも可能で,これにより基質タンパク質の機能を可逆的に制御できる。近年,SUMO1やE2酵素,SENPのノックアウトマウスやSUMO-E3の発現量の少ない(hypomorphic)マウスの解析から,核構造や染色体の動態制御にSUMO修飾が関わることが明らかとなりつつある。以下では,核内構造体の中で,PMLボディーPML(promyelocytic leulemia)と核膜孔,クロマチンに着目して,それぞれの構造体の制御とSUMO修飾の役割を,特に細胞のがん化に関連した最近の論文の中から解説する。
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