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細胞は細胞膜を通して細胞外からの物質の取り込みを行うため,エンドサイトーシスと呼ばれる小胞輸送システムを備えている。エンドサイトーシスとは細胞膜を内側に陥入させて小胞を形成することにより,細胞内へと物質を取り込む現象の総称で,外来物質の取り込みのみならず,細胞膜に存在する構成要素の分解(品質管理)やシナプス小胞のリサイクリングなど,様々な生理現象に重要な役割を果たしている。このため,エンドサイトーシスの破綻は様々なヒトの疾患や病態とも密接に関連している。また,エンドサイトーシスはウイルスや細菌の侵入経路としても利用されているため,エンドサイトーシス機構はこれらの病原体に対する創薬の標的としても注目されている。
エンドサイトーシスは取り込む物質の種類や大きさ,分子機構の違いにより,クラスリン依存性エンドサイトーシス(clathrin-mediated endocytosis;CME),カベオラ依存性エンドサイトーシス,フロチリン依存性エンドサイトーシス,マクロピノサイトーシス,ファゴサイトーシスなどのタイプに分類されている(図)。これらのエンドサイトーシスにより細胞内に取り込まれた物質(小胞)は,最終的にライソゾームと融合することにより分解されるか,エクソサイトーシスにより細胞膜と融合することで細胞膜へと再び運ばれる(他の項参照)。本稿では最も解析が進んでいるCMEを例に挙げ,その仕組みとアッセイ法について概説する。
CMEの過程は次の五つのステップにより構成されている。①バードメインを含むタンパク質による核形成,②アダプタータンパク質による積み荷タンパク質の選別,③クラスリンの重合による被覆の形成,④ダイナミンによる被覆小胞の切断,そして⑤クラスリンの脱重合により完結する。これらのステップには様々な因子(タンパク質・脂質)が協調的に作用しており,そのダイナミクスはタンパク質のリン酸化・脱リン酸化,イノシトールリン脂質代謝,GTP加水分解反応などにより時空間的に厳密に制御されている。
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