特集 細胞の分子構造と機能―核以外の細胞小器官
3.ゴルジ体
p97ATPase膜融合機構によるゴルジ体・小胞体の形成維持
中野 優
1
,
近藤 久雄
1
Yu Nakano
1
,
Hisao Kondo
1
1九州大学大学院 医学研究院 細胞工学講座
pp.394-395
発行日 2012年10月15日
Published Date 2012/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101329
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細胞の内部は膜によって細胞内小器官と呼ばれる様々な区画に分けられており,各々の細胞内小器官は固有の働きを持っている。例えば,小胞体ではmRNAから蛋白質が作られ,その品質管理が行われている。小胞体で作られた蛋白質は次にゴルジ体に送られて,そこで修飾・選別され,種々の目的地に送り出されていく。
小胞体やゴルジ体の形態は非常に特徴的で,それぞれ網状構造・扁平膜積層構造を呈している。この構造は種を超えて保存されていることから,これらの特異的な構造はその機能と密接に関連していると考えられる。加えて,この特徴的な構造は細胞周期間期にのみ観察され,分裂期に入ると特徴的な形態は失われる。そして細胞分裂終期になると,娘細胞においてそれらの特徴的な構造は再構成される。ではこのような特徴的な形態はどのように維持されているのだろうか。本稿では細胞内膜融合経路p97ATPase経路の観点から,主にゴルジ体・小胞体の形成維持の分子機構について最新の知見を交えて解説していきたい。
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