特集 現代医学・生物学の仮説・学説2008
1.細胞生物学
p97 ATPaseによる細胞内小器官ゴルジ体・小胞体の形成維持機構
金子 弥生
1
,
十津川 剛
1
,
近藤 久雄
1
Yayoi Kaneko
1
,
Go Totsugawa
1
,
Hisao Kondo
1
1九州大学大学院医学研究院分子生命科学系部門細胞工学
pp.350-351
発行日 2008年10月15日
Published Date 2008/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100509
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小胞体はmRNAからタンパク質が作られる場であり,生成されたタンパク質はゴルジ体に送られて修飾・選別された後に,種々の目的地へ送り出されている。この小胞体・ゴルジ体は大変に特徴的な形態を示し,小胞体は網状構造を,ゴルジ体は扁平膜積層構造をとっているが,その特徴的な形態の形成維持機構については未だよくわかっていない。
加えて,これらの細胞内小器官の特徴的な形態は細胞周期間期にのみ見られるもので,細胞分裂期に入るとその多くが小胞化してその形態は失われる。そして,細胞分裂終期に娘細胞において再びその特徴的な形態が再構成される。この細胞周期における細胞内小器官の変化を引き起こす分子機構やその意義についても未だよくわかっておらず,細胞生物学の一大トピックである。これまでわれわれは,二つのp97ATPaseによる細胞内小器官の形成維持機構を発見しているので,本稿ではこれらについて概説する。
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