特集 細胞の分子構造と機能―核以外の細胞小器官
3.ゴルジ体
ゴルジ装置の立体微細構造
甲賀 大輔
1
,
牛木 辰男
1
Daisuke Koga
1
,
Tatsuo Ushiki
1
1新潟大学大学院 医歯学総合研究科 顕微解剖学分野
pp.396-399
発行日 2012年10月15日
Published Date 2012/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101330
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ゴルジ装置は1898年にイタリアの病理学者Camillo Golgiにより,鍍銀染色を施したフクロウの小脳プルキンエ細胞の細胞質中に黒染する網状構造として初めて報告された。その後,このゴルジ装置の全体像は主に光学顕微鏡の鍍銀染色法やオスミウム染色法により調べられてきた。
その後,透過電子顕微鏡(透過電顕)の出現で,ゴルジ装置は扁平な槽(cistern)が何層にも積み重なった層板構造をしていることが明らかになった。また,その槽はシス最表槽(cis-most cistern),中間槽(medial cisterns),トランス最表槽(trans-most cistern)の三部から構成されることも知られてきている。しかし,透過電顕による超薄切片の観察ではゴルジ装置の三次元形状を理解することが難しい。この点を克服するために,オスミウム染色や組織化学染色を施した厚切り切片を超高圧透過電顕で観察して,ゴルジ装置の立体微細構造を解析しようとする試みや1),電顕トモグラフィーによるゴルジ装置の立体再構築がこれまで行われてきてきた2)。
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