Japanese
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特集 細胞高次機能をつかさどるオルガネラコミュニケーション
Ⅰ.小胞体
小胞体からゴルジ体へのタンパク質選別輸送
Selective cargo transport from the ER to the Golgi
黒川 量雄
1
Kurokawa Kazuo
1
1理化学研究所光量子工学研究センター生細胞超解像イメージング研究チーム
キーワード:
Cargo protein
,
COPⅡ-coated vesicle ERES
,
Golgi
,
ERGIC
Keyword:
Cargo protein
,
COPⅡ-coated vesicle ERES
,
Golgi
,
ERGIC
pp.532-535
発行日 2018年12月15日
Published Date 2018/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200914
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真核生物の細胞には,多種多様なオルガネラ(細胞小器官)が存在し,機能的な区画を形成している。真核生物の細胞の生命活動の維持には,これらのオルガネラでそれぞれ固有のタンパク質が正しく機能することが必要である。細胞内のタンパク質は,生合成後,それぞれ働くべき場所へと輸送され,またいったん目的地へと運ばれたのちも時々刻々とその局在を変化させながら機能している。そのために真核生物はタンパク質を正確に運ぶ輸送システムを獲得した。なかでも重要なものの一つが,オルガネラ間を小さな膜小胞などの膜構造を介してタンパク質を輸送する膜交通(小胞輸送とも呼ばれる)である。オルガネラのなかでも,ゴルジ体,液胞,エンドソームで機能するタンパク質や,細胞膜に輸送されるタンパク質,細胞外へ分泌されるタンパク質などは,いったん小胞体に標的化され,小胞体内腔あるいは小胞体膜上で高次構造を形成したのちに膜交通によりそれぞれのオルガネラへと輸送される。小胞体は膜交通のスタート地点のオルガネラであり,真核生物の細胞で新規に合成されるタンパク質の約1/3は,小胞体に結合したリボソームで合成され,小胞体内で糖鎖修飾,プロセッシングを受けたのちに正しい構造に折りたたまれたものが選択的に積荷タンパク質としてゴルジ体へと輸送される。
本稿では,多様なタンパク質がどのように小胞体からゴルジ体へと選別輸送されるのか,出芽酵母をモデルとした研究を中心に,その一端を紹介する。
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