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特集 細胞極性の制御
非古典的Wntシグナルによる極性と幹細胞性維持の制御
Non-canonical Wnt signaling in the regulation of cell polarity and maintenance of stemness
遠藤 光晴
1
,
南 康博
1
Mitsuharu Endo
1
,
Yasuhiro Minami
1
1神戸大学大学院 医学研究科 細胞生理学分野
pp.224-228
発行日 2012年6月15日
Published Date 2012/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101289
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非古典的Wntシグナルは平面内細胞極性(planar cell polarity:PCP)経路とCa2+経路に大別され,β-カテニン依存的な古典的Wntシグナルと区別される。多様なWntシグナル伝達経路のなかで特定のシグナル経路が活性化されるメカニズムとしては,液性因子であるWntが結合する受容体の違いが関与することが明らかになっており,Rorファミリー受容体型チロシンキナーゼ(RTKs)はWnt5aの受容体として働くことでPCP経路を活性化し,形態形成などにおいて細胞の極性,運動などを制御する。一方で,RorファミリーRTKsは線虫からヒトまで種を越えて保存された構造を持っており,脳神経系での発現が共通する特徴であるが,脳神経系での機能については不明であった。本稿では,まずRorファミリーRTKsを介した非古典的Wntシグナルによる細胞極性制御について概説した後,最近明らかになった神経幹細胞の幹細胞性維持におけるRorファミリーRTKsの役割について,筆者らの最新のデータを紹介しながら解説する。
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