特集 細胞核―構造と機能
4.核小体
ユビキチン化による核小体の構造と機能の制御
駒田 雅之
1
Masayuki Komada
1
1東京工業大学大学院 生命理工学研究科 生体システム専攻 細胞生物学分野
pp.422-423
発行日 2011年10月15日
Published Date 2011/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101195
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ユビキチンが細胞内の標的タンパク質にイソペプチド結合でコンジュゲートされる翻訳後修飾すなわちユビキチン化は,プロテアソームでの分解をはじめ,それら標的タンパク質の運命や機能を様々に制御している。ヒトゲノムにはユビキチン化を担うユビキチンリガーゼが約600種類コードされていると見積もられており,ユビキチン化は多くの細胞内タンパク質に共通の普遍的制御機構であると考えられる。一方でユビキチン化は可逆的な反応であり,ユビキチン化に拮抗して標的タンパク質からユビキチンを外す脱ユビキチン化酵素による負の調節を受ける。すなわち,細胞内タンパク質の機能はそのユビキチン化と脱ユビキチン化のバランスによって制御されている。ヒトには約90種類の脱ユビキチン化酵素が存在し,このようなユビキチンリガーゼと脱ユビキチン化酵素の多様性から,多彩な細胞機能がユビキチン化/脱ユビキチン化による制御を受けていると予想されている。しかし,核小体の機能への関与についてはこれまでごく限られた知見しか報告がなかった。筆者らは,機能不明の脱ユビキチン化酵素USP36(ubiquitin-specific protease 36)の解析を通じ,ユビキチン化による核小体機能の制御機構を解析してきた。
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