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特集 ユビキチン化による生体機能の調節
ヒストンH2Aのユビキチン化による遺伝子発現の制御
Role of histone H2A ubiquitylation in gene expression
遠藤 充浩
1
,
古関 明彦
1
Mitsuhiro Endoh
1
,
Haruhiko Koseki
1
1理化学研究所免疫・アレルギー科学総合研究センター免疫器官形成研究グループ
pp.533-540
発行日 2009年12月15日
Published Date 2009/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100943
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真核生物では,全遺伝情報(ゲノム)を含んだ非常に長いDNAが,ヒストンと呼ばれるタンパク質に巻きついた構造(クロマチン)をとっており,それがさらに精巧に折りたたまれて小さな核内に収まっている。コアヒストンと呼ばれる4種のヒストン(H2A,H2B,H3,H4)はそれぞれ2分子集まったヒストン8量体を形成し,それに約146塩基対のDNAが約1.65回巻きついている。この構造はヌクレオソームと呼ばれ,クロマチン構造の最小単位である(図1)1)。
同一個体を形成する細胞ではDNA一次配列は基本的に均一である(一部の免疫細胞を除く)。それにもかかわらず,様々な形質・遺伝子発現様式を有する細胞が存在するのは,クロマチンへの後天的な修飾により遺伝子発現が制御されることに起因すると思われる。DNA配列の変化を伴わず,かつ細胞分裂を経て伝達される遺伝子発現の変化やその仕組みはエピジェネティクスと呼ばれており,具体的にはDNAやコアヒストンの化学修飾がその役割を担っていると考えられている。
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