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1999年Kastnerらは,1週間以上持続する発熱と結膜炎・眼周囲浮腫・皮膚炎といった特徴を示し,アイルランドを示す古い地名にちなんでfamilial Hibernian feverと呼ばれていた疾患に,TNF受容体(TNFRSF1A)の遺伝子異常が関与していることを発見し,TNF受容体関連周期性症候群(TNF receptor-associated periodic syndrome, MIM #142680)として報告した1)。その際に,彼らは同じく周期的に発熱をきたし,1997年に原因遺伝子(MEFV)が報告された家族性地中海熱(familial Mediterranean fever;FMF, MIM #249100)や,オランダ・フランスの家系で周期熱をきたす疾患として報告されていた高IgD症候群(hyper IgD and periodic fever syndrome, MIM #260920)とともに,自己炎症症候群(autoinflammatory syndrome)の概念を提唱した。
自己炎症症候群は周期熱を特徴とし,獲得免疫系の異常と考えられる自己免疫疾患を特徴づけている自己抗体や自己反応性T細胞などを認めず,自然免疫にかかわる遺伝子異常に基づく疾患と狭義には定義される。免疫学の分野で昨今注目される自然免疫系がポストゲノム時代を反映するように,遺伝子上のアミノ酸置換を起こすたった一つの変異によって破綻し特徴的な臨床症状を呈することに加え,本疾患群が臨床の場で注目されるのは,抗サイトカイン療法が奏功する点である。さらに,疾患概念が臨床の場で受け入れられるのに伴い,これまで膠原病類縁疾患として分類されているものの自己抗体を認めず,好中球機能異常などに伴って発熱や皮膚症状,関節炎などを認めるStill病やベーチェット病などへもその疾患概念が拡大しつつある2)。
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