Japanese
English
特集 細胞死か腫瘍化かの選択
ストレス応答キナーゼASK1とASK2によるアポトーシスと炎症の制御と腫瘍化
Regulation of apoptosis and inflammation by stress-responsive kinases ASK1 and ASK2 in tumorigenesis
佐藤 剛裕
1
,
一條 秀憲
1
,
武田 弘資
1
Takehiro Sato
1
,
Hidenori Ichijo
1
,
Kohsuke Takeda
1
1東京大学大学院 薬学系研究科 細胞情報学教室
pp.601-607
発行日 2010年12月15日
Published Date 2010/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101090
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
癌を引き起こす原因として,紫外線や有害物質などによる物理化学的ストレスや,細菌やウイルスの感染による生物学的ストレスが知られている1,2)。各細胞に備わった様々なストレス応答シグナル伝達系は,ストレスに曝されると直ちに活性化して適切な細胞応答を引き起こす。過大なストレスによって損傷を受けると細胞はその修復を試みるが,大きく損傷を受けた細胞ではアポトーシスが誘導され,損傷細胞の増殖による癌化が防がれる。この一連のストレスに対する生体防御機構は,ストレス応答シグナル伝達系によって精緻に制御されている。一方で,このようなストレス応答シグナル伝達系の多くは炎症応答の誘導にも共通に使われ,創傷や感染の際の防御機構として働く。しかし,本来は生体防御に働く炎症応答も,とくに慢性炎症となった場合には,発癌の大きなリスクファクターとなると考えられている。したがって,アポトーシスと炎症を制御するストレス応答シグナル伝達系は,発癌のメカニズムの解析や癌の治療標的として重要な研究対象となっている。
Copyright © 2010, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.