WT1遺伝子－その機能と癌の発生・進展における役割

The WT1 gene―its functions and an oncogenic role in tumorigenesis

　WT1遺伝子は，小児腎腫瘍ウイルムス腫瘍において不活化していることからその原因遺伝子として単離された遺伝子で，従来，癌抑制遺伝子と考えられてきた^1）。しかしながらその後の研究により，白血病や多くの固形癌においてむしろ癌遺伝子として機能していることが明らかになってきた。本稿ではWT1遺伝子の機能とその癌の発生・進展における役割について述べる。