増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集
免疫学的検査
感染症関連検査
その他の微生物の抗原・抗体検査
ASO/ASK(抗ストレプトリジンO/抗ストレプトキナーゼ)
村田 三紗子
1
1東京都立墨東病院感染症科
pp.580-581
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909947
- 有料閲覧
- 文献概要
検査の目的・意義
ASO(anti-streptolysin O)とASK(anti-streptokinase)は,β溶血レンサ球菌(溶連菌)のうちA群,C群,G群が産生する代表的な菌体外産生物質である溶血毒(streptolysin O:SLO)と酵素(streptokinase:SK)に対する抗体で,溶連菌感染によって上昇する1).このうちA群溶連菌(菌名:化膿レンサ球菌Streptococcus pyogenes)はヒトの感染症の代表的原因菌で,患者の年齢,感染経路によって,急性咽頭炎,扁桃炎などの上気道感染,猩紅熱,とびひなどの皮膚化膿性疾患,丹毒,骨髄炎,敗血症など多彩な病像を呈する.Toxic shock like syndromeは激烈な経過と高い死亡率のために注目されている.さらに重要なのは,感染後の免疫反応として,リウマチ熱,急性糸球体腎炎などの発現に関与することである.
A群溶連菌感染症の診断根拠として,急性期は感染病巣からの菌検出に重点が置かれるが,回復期や続発症では,ASOやASKなどの溶連菌抗体の有意上昇を血清学的に確認することによってA群溶連菌の先行感染を推定することができる.
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.