特集 シナプスをめぐるシグナリング
1.受容体
セロトニン2C受容体(HTR2C)
文東 美紀
1
,
岩本 和也
1
,
加藤 忠史
2
Miki Bundo
1
,
Kazuya Iwamoto
1
,
Tadafumi Kato
2
1東京大学大学院 医学系研究科 分子精神医学講座
2理化学研究所 脳科学総合研究センター 精神疾患動態研究チーム
pp.394-396
発行日 2010年10月15日
Published Date 2010/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101021
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セロトニン(5-hydroxytryptamine;5-HT)はトリプトファンから合成されるモノアミン神経伝達物質であり,生体内では主に胃腸管や血小板に存在し,脳組織内には約1%程度存在している。セロトニン受容体は14種類報告されているが,セロトニン2C受容体(HTR2C)はHTR2ファミリーに分類されている。HTR2ファミリーは,イノシトール三リン酸(IP3)とジアシルグリセロール(DG)をセカンドメッセンジャーとする,Gqタンパク質共役型の7回膜貫通型受容体である(図)。HTR2Cは中枢神経系にほぼ限局して発現しており,特に脈絡叢,線条体などに多く分布している。神経細胞内では主にシナプス後膜に局在しているが,いくつかの脳部位ではシナプス前膜にも局在が報告されている。受容体にセロトニンが結合すると,小胞体からのカルシウムイオンの遊離,プロテインキナーゼCの活性化を引き起こし,神経の脱分極や神経興奮,血管収縮が起きる。これらは様々な生理作用と結びつき,不安やうつなどの精神機能や睡眠障害,自発運動などに関与する。
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