特集 神経系に作用する薬物マニュアル1998
Ⅰ.受容体に作用する薬物
1.イオノトロピック受容体
1)陽イオンチャネル内蔵型
セロトニン受容体
吉岡 充弘
1
Mitsuhiro Yoshioka
1
1北海道大学大学院医学研究科機能薬理学分野
pp.342
発行日 1998年10月15日
Published Date 1998/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901600
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15種類以上のセロトニン受容体の存在が示されているなかで,イオンチャネル内蔵型の受容体は5-HT3受容体のみである。マウスでは5-HT3受容体を構成するひとつのサブユニットをコードするcDNAが同定され,483個のアミノ酸と487個のアミノ酸から成る二つのスプライシングバリアントが存在することが知られている。ヒトでは478個のアミノ酸から成る4回膜を貫通するタイプである。5-HT3,受容体はこの単一のサブユニットのみで機能的なイオンチャネルを構成している可能性が示唆されているが,確定はしていない。アゴニストおよびアンタゴニストは表1に示す。
アゴニストとして表1に示す三つの化合物が選択的であることが知られている。なかでもm-クロロフェニルビグアニドがもっとも効力が高く,効力の順はm-クロロフェニルビグアニド(>5-HT)>2-methyl-5-HT≧フェニルビグアニドである1)。しかしこれらすべて,部分アゴニストとしての性質を有しているため,使用にあたっては注意を要する。またフェニルビグアニドはモルモットの5-HT3受容体には無効である2)。5-HTのアナログである5-メトキシトリプタミン(5-MeOT)は,5-HT3受容体に対する効果を持たないかわりに他の5-HT受容体に対して5-HTと同程度の効果を有している。このことから,5-MeOTは5-HT3受容体関与を否定する際に用いられる。
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