特集 伝達物質と受容体
1.アミノ酸
抑制性
GABAA受容体のモジュレーション
佐久間 康夫
1
Yasuo Sakuma
1
1日本医科大学大学院医学研究科システム生理学分野
pp.374-375
発行日 2009年10月15日
Published Date 2009/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100878
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[用いられた物質/研究対象となった受容体]
アロプレグナノロン,THDOC/GABAA受容体
生殖内分泌調節の最終共通路であるゴナドトロピン放出ホルモン(gonadotropin-releasing hormone:GnRH)産生ニューロンの調節にはGABAが重要な役割を果たしており,ステロイドホルモンやメラトニンによるGABAA電流のモジュレーションが排卵時のGnRHの大量放出や性特異性調節に関わっている。本稿ではEGFPの発現より可視化したラットGnRHニューロン1)における最近の研究の結果を紹介する。
生殖内分泌調節では脳からの調節に加え,性腺の分泌する性ホルモン,特にエストロゲンによるフィードバック調節が大きな役割を果たしているが,GnRHニューロンはフィードバック調節に不可欠のエストロゲン受容体(ER)αを欠いており,ERα陽性のGABA作動性ニューロンが,GnRHニューロンに対するエストロゲン作用を仲介する可能性が示されている。GnRHニューロンに対するエストロゲン作用には目立った性差があり,雌に限ってポジティブフィードバックによる分泌亢進が見られる。GnRHニューロンの単離初代培養系では,メラトニンによるGABAA電流の修飾2)を例外に,これまで限定的な性差しか検出できていないことも,上位ニューロンによる調節に性差があることを示唆する。ただし,少なくとも細胞体に限れば,GnRHニューロンに対するシナプス入力は数が限られており,ヘミシナプスなどによる体積性伝達が関わる可能性が大きい。
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