Japanese
English
連載講座 中枢神経系におけるモジュレーション・7
視索上核ニューロンのオピオイドによる前シナプスモジュレーション
Presynaptic modulation by opioids in neurons of the supraoptic nucleus
稲永 清敏
1
Kiyotoshi Inenaga
1
1九州歯科大学生命科学講座生理学分野
pp.151-156
発行日 2008年4月15日
Published Date 2008/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100162
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
視床下部視索上核にはバゾプレッシンとオキシトシンを分泌する神経分泌ニューロンが存在する。下垂体後葉より血中に放出され,オキシトシンは乳腺に働いて乳汁分泌を促進し,分娩時には子宮に働いて子宮を収縮し分娩を促進する。バゾプレッシンは,腎臓の集合管に働き水の再吸収を行うとともに血管を収縮し血圧を上昇させる。
オキシトシンやバゾプレッシンの下垂体からの放出は,神経分泌ニューロンの活動に依存している。神経分泌ニューロンの神経活動は,様々な神経伝達物質あるいは修飾物質により調節されている。これらの物質のひとつがオピオイド類であり,バゾプレッシンおよびオキシトシン分泌ニューロンの神経活動はオピオイドによって抑制を受ける。オピオイドは前シナプス性および神経分泌ニューロン自身に作用し,ニューロンの活動を抑制する1-4)(レビューとしてBrownら,20005))。視索上核には,他の脳領域からオピオイド線維の投射や6,7),オピオイド受容体が多く認められている8)。さらに神経分泌ニューロンには,オキシトシン分泌ニューロンはエンケファリンと,バゾプレッシン分泌細胞はダイノルフィンとの共存が観察され9),オピオイドによるオートクライン作用も示唆されている5,10,11)。本稿では,神経分泌ニューロンに対するオピオイドの直接作用について述べ,次にオピオイドによる前シナプス性の抑制作用について述べる。
Copyright © 2008, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.