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解説
日本におけるデュシェンヌ型筋ジストロフィー患者登録システム―国際的な希少疾病データベースモデルとしてのRemudyの取り組み
Patient Registry of Muscular Dystrophy(Remudy)in Japan,as a platform to develop new therapy for rare diseases
木村 円
1
,
中村 治雅
2
,
林 由起子
1
,
西野 一三
1
,
川井 充
3
,
武田 伸一
1
En Kimura
1
,
Harumasa Nakamura
2
,
Yukiko Hayashi
1
,
Ichizo Nishino
1
,
Michuru Kawai
3
,
Shinichi Takeda
1
1国立精神・神経医療研究センター トランスレーショナルメディカルセンター
2TREAT-NMD Office, Institute of Genetic Medicine, Newcastle University, International Centre for Life
3国立病院機構 東埼玉病院
pp.62-68
発行日 2012年2月15日
Published Date 2012/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101261
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筋ジストロフィーを含む多くの遺伝性神経・筋疾患は患者数が非常に少ない,いわゆる希少疾病と呼ばれる疾患である。これらの疾患に対する治療薬は希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ:orphan drug,orphanは孤児を意味する)と呼ばれ,難病などの治療で必要性が高いのにもかかわらず,患者数が少ないため開発が困難とされてきた。しかしながら,近年は遺伝性神経・筋疾患の病態解明が進み,その治療薬開発に向けた研究の進歩は著しく,一部の疾患ではすでに臨床試験/治験(以下,臨床試験)が行われるようになり,より病態に近づいた治療薬が開発される時代が訪れている。
そのうち最も治療薬開発が進んでいる疾患の一つに,デュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy:DMD)が挙げられる。DMDはX染色体に存在するジストロフィン遺伝子が欠損しているために発症する遺伝性疾患1)である。筋ジストロフィーの中でも頻度が高い病型であり,出生男児約3,500人につき1人の割合で発症し,日本では5,000人前後の患者がいると推測される。運動機能が徐々に低下して,10歳ごろに歩行が困難になり,その後呼吸機能低下や心臓機能低下を来す疾患である。これまで,リハビリテーション,鼻マスクなどによる人工呼吸,心機能低下に対するβ遮断薬やACE阻害薬,ARBによる治療,ステロイド治療などにより運動機能の改善,生命予後の改善が図られてきたが,これらの多くは対症療法的な治療であった。しかしながら,近年はより病態に近づいた治療薬開発が行われるようになっている。
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