特集 生物進化の分子マップ
6.核
レギュカルチン遺伝子プロモーター結合タンパクRGPRの比較生物学
山口 正義
1
Masayoshi Yamaguchi
1
1静岡県立大学大学院生活健康科学研究科代謝調節学研究室
pp.382-384
発行日 2006年10月15日
Published Date 2006/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100273
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レギュカルチン(regucalcin)は,EFハンド構造を有しないカルシウム結合タンパクとして,山口らにより発見・命名された1-4)。その後,本タンパクは,数多くの研究により,細胞内情報伝達系の制御タンパクとしての役割を有し,多機能性を発揮することが解明されている5-7)。その中で,レギュカルチンは,カルシウム依存性の各種プロテインキナーゼおよびプロテインホスファターゼ活性を抑制し,核移行によりDNAならびにRNA合成を阻害するなどの機能特性がある。本タンパクを発現増加したクローン化ラット肝がん細胞や正常ラット腎近位尿細管内皮細胞の培養系において,それら細胞の機能関連分子の遺伝子発現を調節することにより細胞増殖やサイトカイン誘導アポトーシスを抑制することが示されている。
レギュカルチン遺伝子はX染色体に位置し,7個のエクソン構造を有する8,9)。そのプロモーター領域に結合する転写因子として,AP-1,NF1-A1が同定され10-12),転写活性を高めることが示されている。さらに,筆者らは,レギュカルチン遺伝子プロモーター領域のTTGGC(N)6CC(-523/-503)配列に結合するタンパクをyeast one-hybrid法で同定した13)。このタンパクは新規のもので,RGPR-p117(regucalcin gene promoter region-related protein)と命名した。これまでに,RGPRのcDNAがヒト,ラット,マウス,ウシ,ラビットおよびニワトリでクローニングされ,その塩基配列とアミノ酸組成が比較されている13,14)。
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