遺伝子治療の最前線・7
メタロチオネインプロモーターを用いた遺伝子ターゲッティング
金 隆史
1
,
峠 哲哉
1
Ryuji KIN
1
1広島大学原爆放射能医学研究所腫瘍外科
pp.87-90
発行日 1998年1月20日
Published Date 1998/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903085
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はじめに
1990年に米国で遺伝子治療の第1例が施行されて以来,遺伝性疾患,各種の悪性腫瘍,AIDSなどに遺伝子治療が施行されている1).悪性腫瘍に対しても,これまでTNF—αのTILへの導入2),p53の導入3),多剤耐性遺伝子(MDR gene)の導入4),単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼ(HSV-tk)の遺伝子導入5)など,多くの標的遺伝子への治療が試みられている.しかしながら,悪性腫瘍そのものが単一の遺伝子の変化ではなく,複数の遺伝子変異の蓄積によるため,十分な効果をあげているとはいえないのが現状である.本稿ではメタロチオネインプロモーターを用いた遺伝子ターゲッティングの1つの試みとして,抗癌剤5’—DFURの活性化酵素であるthymidine phos-phorylase(PyNpase)の遺伝子誘導における筆者らのデータを基に,新たな遺伝子ターゲッティング療法の可能性について述べたい.
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