特集 慢性腎臓病大全—“困った”に応える診療アップデート
【さまざまな疾患とCKD】
❻遺伝性疾患とCKD
長野 智那
1
,
野津 寛大
1
1神戸大学大学院医学研究科 内科学講座小児科学分野
キーワード:
遺伝学的検査
,
常染色体顕性尿細管間質性腎疾患
,
ADTKD
,
MUC1
,
尿所見の乏しいCKD
Keyword:
遺伝学的検査
,
常染色体顕性尿細管間質性腎疾患
,
ADTKD
,
MUC1
,
尿所見の乏しいCKD
pp.282-286
発行日 2026年3月15日
Published Date 2026/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218880510360030282
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CASE
患者:45歳、女性。
現病歴:健康診断にて血清Cr 1.1mg/dL(eGFR約48mL/分/1.73m2)を指摘され、当院を紹介受診した。高血圧症・糖尿病はなく、自覚症状も乏しい。尿蛋白はわずかに陽性、血尿は陰性であった。腎エコーでは軽度の萎縮所見のみ。腎生検では間質線維化と尿細管萎縮がみられたが特異的な診断は得られず、「原因不明の慢性腎不全」として経過観察とされた。受診時、あらためて詳しく家族歴を聴取したところ、妹が40代で透析を受けており、父も60代で腎不全に至っていた。本人は「遺伝なのでは」と不安を抱いていたが、担当医から特に説明はなかった。紹介先で常染色体顕性尿細管間質性腎疾患(autosomal dominant tubulointerstitial kidney disease:ADTKD)が疑われ、専門機関に依頼し、ロングリードシークエンスによりMUC1遺伝子に病的バリアントが同定された。さらに腎生検組織を用いた異常MUC1蛋白(MUC1-fs)免疫染色で、尿細管上皮細胞内に異常蛋白が強く検出された(図1)。以上からADTKD-MUC1の確定診断に至った。

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