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パーキンソン病(Parkinson's disease:PD)は大半が特発性で一部が遺伝性であり、また発症には複数の環境要因が関連している。運動習慣はPD発症に対する保護的因子として知られており、中等度以上の強度での運動習慣はPD発症リスク低下
と関連している1)。その背景として、運動に伴う乳酸の上昇が脳由来神経栄養因子(brain-derived neurotrophic factor:BDNF)を増加させ、神経保護や神経可塑性に関わることが一因と報告されている2)。
早期〜中期PDにおいて理学療法または作業療法が有用かについては、複数の小規模試験からのメタ解析結果から短期的には有用な可能性が報告されたが3)、その後の大規模比較試験からは短期的〜中期的にはactivities of daily living(ADL)・quality of life(QOL)改善に寄与しないことが報告された4)。ただし、医師が理学療法や作業療法が必要だと考える患者は除外され、必要かどうか判断できない患者が組み入れられた試験であり、一概にすべての早期〜中期PD患者に理学療法または作業療法が意味を成さないということではない。一方で、PD診断早期から集学的集中リハビリテーション(以下、リハビリ)5)や、ある程度強度の高い定期運動6)を実施すると、中期的にも症状進行や必要な抗パーキンソン病薬量が抑制されることが報告されており、発症前〜発症早期においてはある程度高い強度のリハビリが有効な可能性がある。また、PDに対する身体運動が運動機能やQOL改善に寄与することは示されているが、一方で、最新のネットワークメタ解析において、具体的な身体運動の種類間で有意な違いはほとんど示されなかった7)。今後リハビリ開始時期やその内容を個別に最適化する必要があるかもしれない。

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