特集 腸内細菌研究の最前線 ―社会実装へ向けて
2.腸内細菌と疾患(4)腸内細菌と神経疾患 ―パーキンソン病
大野 欽司
1
1名古屋学芸大学管理栄養学部
キーワード:
Akkermansia
,
短鎖脂肪酸産生菌
,
パーキンソン病
,
レム睡眠行動障害
,
レビー小体型認知症
Keyword:
Akkermansia
,
短鎖脂肪酸産生菌
,
パーキンソン病
,
レム睡眠行動障害
,
レビー小体型認知症
pp.1344-1349
発行日 2025年9月20日
Published Date 2025/9/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000003648
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パーキンソン病(PD)において神経細胞死を惹起するα-シヌクレイン異常凝集体(レビー小体,αSyn)が腸管神経叢を起源とすることが示されてきた.PD患者の腸管においてはAkkermansiaが増加し腸管壁透過性を高めることによりαSynの異常蓄積を促進する機序が想定された.加えて,PDにおいては腸内細菌叢によるリボフラビン産生低下とビオチン産生低下が短鎖脂肪酸(SCFA)産生低下とポリアミン産生低下につながり脳内炎症を促進する機構が想定された.一方,PDに前駆するレム睡眠行動障害(RBD)においてはAkkermansiaは増加するがSCFA産生菌の低下は認められず,脳内炎症がPDへの移行を促進することが予想された.

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