特集 パーキンソン病大全—あなたのギモンに答えます!
【診断編】
❼若年性パーキンソン病と遺伝性パーキンソン病
王子 悠
1,2
1順天堂大学医学部附属順天堂医院 脳神経内科
2順天堂大学医学部 神経学講座
キーワード:
若年性パーキンソン病
,
早期発症パーキンソン病
,
遺伝性パーキンソン病
,
グルコセレブロシダーゼ
Keyword:
若年性パーキンソン病
,
早期発症パーキンソン病
,
遺伝性パーキンソン病
,
グルコセレブロシダーゼ
pp.896-899
発行日 2025年8月15日
Published Date 2025/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218880510350080896
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パーキンソン病(Parkinson's disease : PD)は、振戦、筋強剛、動作緩慢を中心とした運動症状を呈する神経変性疾患である。PDの発症には加齢が関与し、中高年が好発年齢となる。人口全体では1,000人に1〜2人程度の頻度であるが、65歳以上の高齢者では100人に1人程度となる。令和2(2020)年度の患者数調査でPD患者は28.9万人であり、年齢別では70代が最多で、次いで80代が多く、65歳以上が90%を占める。また令和5(2023)年度のPD指定難病の受給者数は14.7万人で、75歳以上が9.5万人(64%)であった。現在、本邦を含め世界的にPD患者数が著しい増加傾向にあり、2050年には全世界のPD患者数は2,520万人に上ると予測されている。患者数増加の主な要因は社会の高齢化であり、80歳以上の年齢層で最も大きな患者数の増加が予測されている1)。しかし、PDは必ずしも中高年にのみ発症する疾患ではなく、20代や30代で発症することもある。上述の患者数の増加を予測した報告でも、20〜39歳の若年層の患者数も高齢層ほどの増加速度ではないものの、将来的に増加傾向を示すことが予想されており、一般臨床の場面でも若年発症のPD患者を診察する機会がないとは言えない。
本稿では若年性PDの定義や特徴について概説し、関連する遺伝性PDやその原因遺伝子についても紹介する。

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