特集 シマから学ぶ、プライマリ・ケアの未来—いざ、素晴らしき離島医療の世界へ
【離島医療イロイロ】
❺離島と災害【舳倉島/石川県】平時も災害時も島民に寄り添い、島民を守るには
小眞頼 明斗
1,2
1前・石川県立中央病院 総合診療科、腎臓内科・リウマチ科
2現・輪島市立輪島病院
キーワード:
離島医療
,
災害医療
,
プライマリ・ケア
,
能登半島地震
Keyword:
離島医療
,
災害医療
,
プライマリ・ケア
,
能登半島地震
pp.633-637
発行日 2025年6月15日
Published Date 2025/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218880510350060633
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離島の特徴
舳倉島(表1)は石川県輪島市の北方約48kmにある、東西2km、南北1kmの島である。島への移動手段は1日1往復の定期船のみであり、輪島市から舳倉島まで1時間30分程度かかる。冬の日本海は荒々しく波が高い日は船が欠航となり、近年では船の運行率は50%程度で、天気の悪い冬場は1週間に1回も運行しないことも多い。また、毎年1月には定期船の点検があり、年明け最初の凪の日に舳倉島に向かった後、1カ月間欠航となる。
舳倉島は古くから好漁場として知られ、アワビ、サザエ、タラ、ブリなどの漁業が盛んである。島民の大半は漁師であり、平均年齢は70歳を超えるが、皆現役で船に乗り、海女漁を行う。人口は夏場で80人、冬場は30人程度であり、島に家があるが、全員が輪島市内にも家を持っている。盆と年末年始には島民がほとんど本土に戻り、島民は数人のみとなる。島内に飲食店などの商業施設はなく、宿泊施設が2軒、お金を使う場所は島内の自動販売機のみであり、警察もいなければ信号もない。車は診療所にある「救急車」と呼ばれる軽自動車と工事用のトラックの2台だけである。

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