連載 私の一冊・12
二匹の猫が歩む深遠かつ滑稽なる禅の道
鶴田 明美
1
1前横浜市立大学短期大学部
pp.188-189
発行日 2006年2月1日
Published Date 2006/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100229
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壁に向かってひたすら座す。神聖で高尚な時空。禅の真理を学び,厳しい修行に耐えた者だけが得られる特別な境地。私が持っていたそんな禅のイメージは,この本によって覆された。猫と禅……。猫は自己中心的で快楽的。一方,禅は他者中心的で禁欲的。まるで対局にあるかのような組み合わせが実に新鮮に思えて,私の興味・関心が一気に高まった。
仏教の経典に使われているような堅苦しいことばはなく,専門知識もいらない。2匹の禅僧(ネコなので禅ネコというべきか)がおりなすユーモアあふれるエピソードによって,深遠なる禅の道へと自然に導かれていく。やさしいことばとキュートな絵で禅を説く,禅絵本。これが私の一冊である。
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