特集 輸血のすべて
Part 2 血液製剤の使用
【コラム⑤】血漿交換—目的,手法と効果,施行の実際
上田 恭典
1
Yasunori UEDA
1
1倉敷中央病院 血液内科
pp.96-103
発行日 2024年12月1日
Published Date 2024/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218804090120010096
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血漿交換療法は,英語でplasmapheresisとよばれる。アフェレーシス*1 apheresisという言葉は,「分ける」というギリシャ語にその語源を発している1)。“plasmapheresis”という用語が最初に記載されたのは,1914年,Abelら2)によってであった。血液を分画し,医療に応用していく作業をヘムアフェレーシスhemapheresisとよぶ。
アフェレーシスにとって,そして輸血医学にとっても重要なのは,1914年の抗凝固薬としてのクエン酸ソーダの開発である3)。1933年にはへパリンが精製され,その後,1943年に血液保存液としてACD液が開発された4)。これによって,血液の保存のみならず遠心分離法による体外循環が容易になった。
ヘムアフェーレシスの目的としては,有害物質の除去,(血漿除去による空間の確保に続く)有用物質の注入,細胞成分の除去または採取・修飾,緩衝能の回復,biological response modifier(BRM)様効果が挙げられる。その方法として,血漿成分を対象としたplasmapheresisと,細胞成分を対象としたcytapheresisがある。このうち,本稿ではplasmapheresisについて述べる。
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