特集 輸血のすべて
Part 1 輸血療法のすべて
【コラム①】血液型不適合妊娠—2つの病態,予防と治療の臨床
三島 隆
1
Takashi MISHIMA
1
1札幌厚生病院 婦人科・生殖内分泌科・遺伝相談科
pp.32-39
発行日 2024年12月1日
Published Date 2024/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218804090120010032
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血液型不適合妊娠とは「母体にはない血液型抗原をもつ胎児」を妊娠していることである。例えば,母親がRhD抗原陰性の血液型で,父親がRhD抗原陽性の血液型であるとする。このとき子どもがRhD抗原陽性の血液型となった場合には,血液型不適合妊娠ということになる。同様に母親がO型で父親がA型の場合,胎児がA型であれば血液型不適合妊娠ということになる。
前者のRh血液型不適合妊娠は,第2子以降の胎児・新生児溶血性疾患(HDFN*1)の原因として頻度が高く,また重症度が高い。後者のABO血液型不適合妊娠は第1子からHDFNが起こり得るものの,軽症で頻度は低いという大きな違いがある。
まずはこの違いを明らかにすることで両者の病態を理解し,周産期の予防と治療の臨床についてまとめる。
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